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Chef'sおしゃれスープトーク 世界の食卓 のぞき見隊 イギリス〜食事情編 今月のゲスト 佐藤好美さん

1年間の英国留学を経て昨年の8月に帰国した佐藤さんは、某新聞社の記者。社会人留学生としてヨークシャー地方のヨーク大学に通い、自身の関心領域のひとつである『社会保障』を学んだそうです。「大きな田舎だったわ!」というヨークは、日本でも人気のヨークシャテリアや、映画「フェアリーテイル」の舞台としても有名。しかしその食生活はオドロキの連続だったみたい!小学生の坊やを伴った英国暮らしは、果たして・・・。

女王さまの国の料理は、超シンプル! その1
オリーブオイル、ローズマリー、タイム
佐 藤
英国の食生活はシンプルの連続でとっても驚きました。
まずは食材の種類のシンプルさ!スーパーに行ったら食材の少なさにびっくり。まず葉ものがない、根菜も少ない。じゃがいも、ニンジン、玉ねぎはあるのだけれど、それ以外の、例えば筑前煮に使うような根菜がない。『じゃが、ニン、玉』で何ができるかなあ…って考えた結果、しばらく豚汁、カレー、肉じゃがを繰り返し作っていました。
でもあるとき「これはおかしい!」と。だって変でしょ、それしか料理を作らないなんて!で、いろいろ考えた結果、和食を作るのは無理そうなのでやめました。
ほとんどイタリアンを作っていましたね。
高 木
うんうん、イタリアンはグッドアイデアだと思います!良質なオリーブオイルとローズマリーやタイムなどのハーブがあれば、ソテーしただけでも美味しいし、ホールトマトで煮こめばパスタにもパンにも何でもあいますよね!
浅 川
ヨーロッパの北の方では、葉もの野菜は輸入なんですよね。
イギリスは寒いから、あまり野菜が収穫できないんだと思いますよ、きっと。日本の北海道も同じだよね、『じゃが・ニン・玉』は安くて美味しいけれど、レタスなどは東京よりも高いからね。地元で栽培できないから仕方がないけれど。でもじゃがいもの種類はすごーく多いでしょ?
日本みたいにメークインと男爵の2種類って国、あまりみたことないもんなあ。
佐 藤
でもね、驚くほど安くて豊富で美味しい野菜もありましたよ!例えば色とりどりのピーマン。
赤やオレンジや黄色など日本でもよく見かけるけれど、結構高いでしょ?これが安いんですよ、向こうでは。そしてあまくて美味しい!感動ものでしたね。
高 木
そうそう、先日撮影の時に感激したレシピがあります!いろいろな野菜をスライスして、平らなかごに並べてベランダなどに干します。半日から1日くらいかな。次にオーリーブオイルとローズマリーでソテーするのですが、これが感激の美味しさでした!まさにこのレシピなんてピッタリですよね。

英国流超シンプル! その2、味がない!
佐 藤
料理の味は、いたってシンプル!というか、はっきり言って味がない!面白いエピソードがありますよ。小学生の息子が、まだあまり英語ができなかった頃の給食での出来事です。学校から帰ってきた息子が私に「今日は野菜しか食べられなかったよ」と。理由を聞いてみると、イギリスの給食のシステムを知らなかった息子は、いくつかの中からとりあえず、一番短い列の最後尾についたらしいんですね。そうしたら生野菜だけが配られた。どうやらベジタリアン用の列だったみたいなんです。
高 木
ええっ、小学校の給食がベジタリアン対応なんて!
サラダ
佐 藤
それを聞いた私は息子に、小学生にも食事の選択をさせてくれるなんて、イギリスは素晴らしいわね、と言うと、「でも、どうしてベジタリアンはドレッシングも塩もかけないの?」と。「あったでしょ?」「いや、探したけれど、どこにもなかった」。納得できなかった私は後日、語学学校の先生にこの件を話したのだけれど、実家から出るまでは、野菜に何かをつけて食べること自体を知らなかったというのです!そして息子曰く「ぼくはうさぎじゃないんだから、野菜はそのままじゃ食べられないよ!」ですって。(笑)
浅 川
はっはっはっ!面白いエピソードだ!
でも考えてみると日本でも、昔は生野菜に何かつけて食べる、つまりサラダを食べるという習慣は無かったよね。家庭の食卓に上るようになったのは、せいぜいここ30年くらいでしょ。
きっと、イギリスはまだ素朴なままなんですよ。
高 木
寒い地方ですからねえ、身体を冷やす生野菜は食べず、身体を温める根菜で栄養を採るようになっているのかも・・・。自然の摂理ですかね。

英国流超シンプル! その3、切って入れて焼く、切って入れて煮る!?
オーブン料理
佐 藤
調理法もいたってシンプルなんです!通常の食事はオーブン料理が主流。ローストチキンとか魚1匹丸ごとローストとか…。プラス野菜の付け合わせ。野菜は例の『じゃか、ニン、玉』のオーブン焼きか、ブロッコリーやグリンピースなどの茹でた野菜。そしてすべてが味がない!とにかく調理に手間をかけない、そして味はシンプル。これがイギリスの食卓なんです。
浅 川
そうそう、ロースト○○○って多いよね。ぼくの感覚で言うと、イギリス料理の代表は、何と言ってもローストビーフ。以前は日本でも、ホテルの宴会料理など、『ハレ』の料理としてよく見かけましたよね、最近は注目されないけれど。
ま、昔は肉に飢えていたからな。血の滴るようなローストビーフが目の前でカットされ、サーブされる。憧れでしたよね!そして、ローストビーフの付け合わせといえば、ヨークシャプティング。ほら、ホットケーキの甘くないようなのが付いてたでしょ?牛の腎臓の周りについている甘い脂をバター代わりに使って焼いたパンケーキ状のものですね。これもあまり見なくなったね。
高 木
ローストするのは簡単だしヘルシーだし…。とってもイイと思いますね。でも味がないっていうのは、なぜなんでしょうね?ソースを作る習慣がないんでしょうか、フランスに近いのに・・・。とっても不思議で興味あるわ!

でもね、デザートはもう、めちゃくちゃ旨い!

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