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「そういえば、ここにいるときでも、いつも手帳を見てますね。
ずっと仕事のことを考えていて、疲れませんか?」
カズトから見た明彦は、つねにいろんな資料がはさんである手帳を見ながら、
なにか仕事に必要なことを確認している忙しそうな人、といった印象だ。
「ははは!そう見えちゃうか。いや、実はそんなこともないんだけどね。」
そう言って、手帳の一番後ろのページにはさんであった写真を、大事そうに取り出した。
「仕事をしていても、つねに考えているのは、この子のことだよ。そして、これが僕の生きがい。」
写真には、小学生くらいの男の子が写っており、こちらに向かって笑顔でピースをしている。
「え!もしかして明彦さんのお子さんですか?確か独身でしたよねえ。」
おどろくカズトをしりめに、明彦はしれっと「そうだよ」といい、大事そうにそっと写真をなでた。
「かわいい子だね。目元や顔のかたちが、明彦君にそっくりだよ。」
「そうなんです。もう、ほんっとかわいいんですよ。」
マスターの感想に、明彦は親ばかぶりを隠そうとせず、得意げに目を細めた。
「今は、5年前に別れたカミさんのところにいます。」
ああ、そういうことですか、とカズトは納得した。
「だから、いつもこの手帳を見ているのは、なにも仕事のためばかりじゃなく、
たまにこっそり、この写真を見ていたりするんですよ。」 |